美馬朱莉 先生
霊の住み家を荒らした祟り?!一緒に行った友人たちが次々と事故に遭い……
●神奈川県厚木市 最上紗由美さん(25歳)
美馬朱莉先生に命を救われました。決して大げさな表現ではなく、文字通りの意味で助けてもらったのです。こちらの体験談コーナーでは恋愛や結婚、人間関係などの悩みを中心に取り上げられているようですが、私は霊障に関わるトラブルでご相談しました。
9月も半ばを過ぎた頃、友人が住むマンションの一室に男女合わせて10人くらいが集まり、夜遅くまでわいわいと騒いでいました。表向きはメンツのうちの1人の誕生パーティだったのですが、たまたまお酒の飲めない人たちが揃ったせいか、シラフで雑談を続けることにみんなが飽き始め、そのうちに誰からともなく「深夜ドライブをしよう」という声が上がりました。そこで3台の乗用車に分乗し、具体的な目的地を決めないまま、とりあえず丹沢方面へと向かいました。こういう場合、車内でコワイ話が始まって、やがて心霊スポットで肝試しというのがお決まりのコースですよね。私たちもその例に漏れず、いつの間にか幽霊が出ると噂される山中の廃屋を目指していたのです。
道案内をしたのはBさんという年上の男性で、彼は前にもそこを探検したことがあると話していました。屋内で女がすすり泣く声を聞いたそうですが、真偽のほど分かりません。何しろ彼は現在に至るまで、行方不明のままなので……。市街地から完全外れて1時間近く走ると目的地近くに着き、そこから先は車では入れない感じでしたので、後は携帯のライトを頼りに廃屋への道を歩きました。周囲が暗くてよく分かりませんでしたが、建物自体のシルエットはごく普通の一軒家という感じで、1階部分の窓はすべて内側から板で塞がれていたのを憶えています。見るからに何かが出そうな雰囲気で、この時点で「これ以上はイヤ!」と叫んで車へ戻った女の子が2人。残る8人でサッシを開けて、おそるおそる屋内へ踏み込んだのです。
予想に反して家の中はがらんとしていました。人が住んでいた頃の名残りはほとんど窺えず、泥だらけの床と壁があるだけでした。畳や建材が腐っているのかすえた臭気があたりに充満し、私は生まれつき鼻が敏感なたちなのでとたんに気持ちが悪くなってしまいました。先の女の子たちに続いてリタイヤしたかったのですが、狭い場所を一列に並んで歩いていたために、背中を押されるような形で無理矢理に先へ進まされることになりました。1階の間取りを全部見て回った後、玄関へ戻って2階への階段を上り、いずれも6畳間ほどの広さがある3つの部屋を巡り歩きました。ここでもとくに変わったことはなく、拍子抜けして「出よう」ということになった頃、それまで最後部を歩いていた女の子がいきなり「ギャッ」と叫び声を上げたのです。「今、誰かに髪を引っ張られた」とその子は脅えた顔で主張していました。しかし、それ以上の怪異が起こる気配はなく、「気のせいだよ」と慰めながら車へ戻りました。
そして3日後、あの日、一緒に出掛けたうちの3人が交通事故で入院したという連絡が入りました。それぞれ別々の時間と場所でバイクや原付での事故を起こしていたのですが、なぜか怪我をしたのは一様に右脚と右腕だったということでした。さらに2日後には残る7人のうちの4人がまた負傷。この時は全員が交通事故というわけではなく、駅の階段を歩いていて転んだり、建設作業の現場で資材が倒れてきたり、あるいは酔っ払いにからまれて喧嘩になったりと原因は様々でしたが、やはりどの人も右半身だけに怪我を負う羽目となりました。そしてとどめは最初の方で書いたBさんのこと。彼はあのドライブの翌日から無断欠勤を続け、勤務先の責任者が下宿へ出向いてみると、ついさっきまで寝ていたような布団を残したまま本人の姿だけが消えていたそうです。こうしたことを聞かされるうちに、恐ろしくて堪らなくなりました。それでネットの検索で宜保鑑定事務所を見つけ、霊能者としての修行を修めてお祓いや祈祷術にも長けているという美馬朱莉先生を指名したというわけです。
電話がつながってすぐ、こちらからまだ何も説明していないのに、「霊が関わる悩みですね」と断定的な口調で告げられた時には、思わず全身が総毛立ちました。「じつは先週、心霊スポットに出掛けて……」「ええ、今、私の心の目にその時の様子が映っています。すでに何人もの方が怪我をされていますよね」「そ、そうなんです!それで次は私じゃないかと怖くなって」「仔細は霊視で分かりますので、おっしゃらなくても結構です。とりあえず緊急処置をさせていただきます」続けて目を閉じて腹式呼吸を繰り返すように言われました。やがてお経を唱える低い声が電話口から流れたかと思うと、それまでガチガチに強張っていた全身が瞬く間にほぐれ、そのまま床にへたり込んでしまいました。
「今のところはこれで大丈夫ですが、霊障を完全に断ち切れたわけではないので油断はしないように。そして何ヶ月先でも構いませんから、皆さんの怪我が治ったら全員で由緒正しいお寺に参詣し、霊に対する非礼を心から謝罪してください。そこで加持祈祷を受けていただければ、なお万全です」
この約束を果たせたのは、つい先日のこと。残された9人全員で大きなお寺へお詣りに行きました。先生のお話によれば、私たちが出掛けた廃屋は付近を走る霊の通り道にちょうど貫かれる位置にあるそうで、そのため一時に大量の浮遊霊に憑依されてしまったとのことでした。また、全員が身体の右側を怪我したのは「今の行いを改めよ」という強い警告のメッセージだそうです。なお、行方不明のままのBさんについては、今回の件との直接的な関連性は薄いものの、今まで積み重ねてきた業が祟って相応の報いを受けている最中だと、意味深な説明も受けました。いずれにしても、もう2度と心霊スポットには近づきません。