霊能者の一族
霊能者の血を引くということ
宜保詠歌 先生より
当宜保鑑定事務所は元より、世に霊能者と名乗る方々の多くは、生まれたときから他の子供とは違う、ある種の不思議な能力を持っていたと言われています。もちろん、年齢を重ねて霊能力に目覚める者もおりましょうが、多くはその能力を宿してこの世に生を受けたと言われています。私自身の系譜から申しましても、やはり“霊能の血”というものは受け継がれていくものだと感じております。
なにしろ母、姉、祖母、そして先祖をさかのぼるに於いてもまた直系・遠縁の傍系問わずに、その血は私の一族に受け継がれてきましたから。また、霊能の血が発現するのは“女性に多い”と言えましょうか。“血”はある種の女性の象徴でもありますし、神秘の力をもたらすものとして、そこに大いなる力を宿しているとも言えます。
私の記憶にある先祖としては最も遠い、祖母について語りましょう。祖母はすでに他界しておりますが、宜保の血を、霊能の血を引く者として数々の奇跡を私に見せてくれました。もちろん、祖母の時代には電話占いといったサービスは存在せず、今で言うところの占いの館や占い師個人の出店するブースのような形で、時折呼ばれて遠出することはありましたが、自宅で対面の霊能鑑定を主としておりました。
また当時、母もすでに霊能者として活動しておりました。正確にコントロールできないとは言え、私も霊感を持っていたので、祖母や母の霊能力の強さを感じ取ることができました。
言葉にするのは難しいのですけれど、射すような強烈な霊能力を発揮していた母よりも、私は暖かく包み込むような霊能力を発揮する祖母に惹かれ、ことあるごとに祖母の元へと足を運んでいたのです。当時のように壁の薄い建物内での霊能鑑定に於いては、どんなに注意して相談者が話しても、霊感のある者が集中して魂のチャンネルを開けたなら、声や魂の波動が伝わってしまうのは止むを得ないことでしょう。
祖母もおそらくは私が霊聴の霊能力に似た力を使っていたことを気付いていたでしょうが、特にこれと言ったお咎めはありませんで、むしろ私に向かって将来はその霊能力を使い、一族の中でも特に有名な霊能者になるだろうと言ってくれるのでした。
さてその祖母の霊能力について話を戻しましょう。祖母の最も得意としていたのは、人の心を読み取る千里眼とも透視力とも言える霊能力でした。
祖母が語ってくれたことがあるのですが、「相手の目を見て、意識の中でその人に問い掛けるのだよ。するとな、その人の口が動いていないのに、言葉が聞こえてくるんだよ。どんなことを考えていて、どうなりたいか、どんな未来を望んでいるか、それらが見えてくるんじゃ」と。
祖母はこの霊能力で、相談内容を語る前の相談者に、今日は●●の相談で来たんですなと先手を取って語り掛け、相談者が驚く表情を見せることに自分が楽しみながらも、相談者の固くなった心もほぐして鑑定へ流れ込むようにしていたのだと今なら私もわかります。
それにしても、やはり祖母の“人の心を読み言い当てる”霊能力は、子供心にすごいのひと言でした。それこそ、当時にインターネットやテレビが充実していたなら、宜保霊能者の名前で語り継がれる存在になっていたのは間違いなく祖母でしょう。
姉…は、またいずれ語るとして、母のことにも触れておきましょう。ちなみに、祖父も父も外の家系から養子として入ってきた人であって、霊能力はおろか弱い霊感の力すらもっていない人たちでした。
しかしやはり宜保の霊能の血は濃いのでしょう、しっかりと祖母から母へ、そして姉と私へと受け継がれてきたのです。
その母の霊能力は、祖母とは異なり射すような霊能力でした。祖母が相談者の魂全体を包み込み、その魂を読み取って導くような霊能力に対し、母は例えば念のような力を送り込んで運命を一気に180度変えるような、いわゆる力技の霊能者でした。もっとも、どちらが良い悪いはありません。現に母は母で、「霊能鑑定からたった5日で結婚が決まりました」といった風に即効性を見せて願望を叶えていたのですから。こればっかりは、私自身の感じ方の違いと申せましょうね。
ちなみに母は存命で、しかしすでにお客様をとって相談にあたるといった霊能対面鑑定からは身を引き、ご近所様や昔のお客様の依頼、と言うよりはお願いでしょうか、それに応える程度の活動を、これまた本人が楽しみながら継続しております。
今回は、祖母と母、霊能一族の中でもごく身近な存在の二人についてお話しさせていただきました。霊能者として血を受け継いだ私の家系、遠縁も近縁も含めて、まだまだ霊能を持って生まれた者、年齢を重ねて発現させた者、男性の霊能者などがおります。メディアに進んで出た者や宜保の名を捨て活動をしている者、ひと口に霊能者の一族とは言え生き方はそれぞれにあります。それらについても、この場を借りていずれお話しできればと思いながら、このたびは終わらせていただきましょう。