第62回油井Gホテル
(千葉県)
かつて酸鼻を極める殺人死体遺棄事件が起きた廃ホテル。
深夜、屋内をさまよう恨みの死霊たちが、様々な心霊現象を引き起こして侵入者を威圧する?!
今や心霊スポットは死者の怨念よりも生者の妄執に満ち溢れ、それが悪霊と同等の霊障を引き起こしています。本当に恐れるべきなのは、亡霊ではなく人間なのかもしれません。
- 所在地
- 千葉県東金市油井
- 危険度ランク
- A ★★★★☆
先の新潟の物件から千葉県の廃ホテルへと目を転じつつ、引き続き人工霊の問題を取り上げたいと思います。
この廃墟の通称は「活魚ホテル」。営業していた頃の正式名称は油井Gホテルというのですが、国道126号線を脇に外れた行き止まりの道、その鬱蒼と繁る草地を分け入ると前方に「活魚」と書かれた看板が見え、それが目的地の目印であることから、この奇妙な名前で呼ばれるようになりました。元々はカップル向けのモーテルとして営業を始めその後、生け簀を売りにした割烹ホテルに転じたものの、経営不振により廃業。現在は建物が残されたまま廃墟化している、という物件です。
所在する東金市には当コーナーでも既に紹介済みの有名心霊スポット・雄蛇ヶ池(おじゃがいけ)があるのですが、マニアの間ではそれを凌駕する県内最恐の場所として認知されているようです。じつはこの廃屋では過去に凄惨な殺人事件が起きており、新聞やテレビでも大々的に報道されたため、その印象が強い影響を及ぼしているのでしょう。
今から約6年前に起きた『茂原女子高生殺人事件』というのがそれで、当時高校生だった女性が複数の男たちによって拉致され、ホテルの廃屋で暴行された挙げ句、口封じのために殺害されるという凄惨な事件でした。被害者の遺体は鮮魚を保存する業務用冷蔵庫に投げ込まれていたとも言われており、もし事実だとすれば「活魚ホテル」の通称も恐ろしい意味合いを含んでいるような気がします。またホテルがまだ稼働していた時からすでに、自殺や殺人事件が起きていたという話もあり、いずれにしても不吉極まりない場所です。
ここで起きるとされる心霊現象は複数の霊体の目撃を筆頭に、内部を撮影すると心霊写真が写る、金縛りに遭う、奇怪な声が聞こえるなど様々伝えられており、何よりもまず侵入した者は、他とはまるで違う陰鬱で殺伐とした空気感に圧倒されます。ただ実際に霊視してみると、そうした異様な感覚は必ずしも亡魂(肉体を失った魂)が発する霊波動に由来するものではなく、むしろ不法侵入者たちの怨念や悪意から生じていることが分かります。つまりここもまた、悪質な人工霊が蔓延っている場所なのです。
昨今、格差社会の深刻化で人心もますます荒廃し、それが心霊スポットの在り方までも変容させてしまった、というのが最近の私の持論です。多くの現場は死者の怨念ではなく、生者が発する低劣な欲望、あるいは人生に対する絶望感とそこから発する破壊衝動などの凶念で覆い尽くされており、もしこれらの波動に同調してしまうと、従来の悪霊が引き起こす霊障と同等の被害を蒙ることになります。 このような悪しき廃墟は一刻も早く解体して、何もない更地に戻すべきだと思うのですが…。