第30回七面大天女岩屋
(新潟県)
日蓮上人の教化によって改心した、
大蛇の魔物が棲むとされる自然洞穴。
暗闇に歩を進めていると、
洞内の冷気に混じって異質の霊気が漂い始めた!
前回に引き続き、新潟県の心霊スポット第2弾をお届けします。今回ご紹介するのは、日蓮上人ゆかりの史跡、七面大天女岩屋。その名の通り、岩山の側面にうがたれた天然洞穴で、内部には仏神の使いである蛇霊が祀られています。この場所に積み上げられた小石の山を崩すと恐ろしい祟りが起きるとの話なのですが、果たしてその真相は?
- 所在地
- 新潟県新潟市西蒲区角田浜1011
- 危険度ランク
- B ★★☆☆☆
前回ご紹介したホワイトハウスから車で至近の場所に、正式名称は七面大天女岩屋、俗に日蓮の洞窟と呼ばれる宗教史跡があります。そもそもこの角田浜一帯はかの日蓮上人ゆかりの地。かつて佐渡に流罪となった日蓮が、途上の海で嵐に遭って漂着したのが角田浜の一角で、その時、村人たちから七頭大蛇を退治して欲しいと請われ、その魔物が棲む岩屋へ赴いて仏の道を教え諭したそうです。その後、改心した大蛇は七面大明神として祀られて、近隣の人々を守護したと伝えられています。
土地のいわれを聞く限り、心霊スポットと言うよりはむしろ聖地と呼ぶべき場所なのですが、岩屋に祀られているのが蛇の魔物であること。さらに真っ暗な空間の奥には地蔵尊の石仏なども鎮座しており、それらがいかにも不気味な雰囲気を醸し出していることなどから、いつの頃からか地元の肝試しスポットとして定着してしまったようです。この地で起きる怪異現象については、次のような事例が挙げられています。
- 岩屋の入り口に積み上げられた石の山を崩すと不幸に見舞われる。
- 洞窟内部にも多数の石積が散見されるが、これらは深夜ひとりでに積み上がるとされている。
- 岩屋の付近には水子供養とおぼしき玩具の人形なども置かれており、その顔をじっと見つめていると目が動き出してこちらを見つめ返す。人形に見返された者は交通事故などで非業の死を遂げる。
なお、私が実際に検分した結果を先に申し上げると、いわゆる心霊スポットのカテゴリーからは完全に外れていました。現地は車両が入れない小道の先にあるため、途中から徒歩で到着。そこかしこに南無七面大明神と書かれた紅白の幟旗が立っているのが見え、さらにその先には日蓮の銅像もありました。また辺りには寺院に特有のさびれた念気が漂い、それが少々重苦しく感じられました。現地を篤く信仰している方が今も多くいるようで、そうした人々の念が霧のように垂れ込めているのです。
楕円形の洞窟内部はほぼ真っ暗闇に近く、持参したライトを手掛かりに最奥部まで進んでみたところ、そこで私を出迎えたのは天女のような衣をまとった独りの女神でした。ニッコリと笑みを浮かべつつも静かにこちらを拒絶している雰囲気で、残念ながら最後までコンタクトを取ることは叶いませんでした。恐らく長年に渡る信仰者たちの念が堆積して形象化した霊神と思われます。もちろん祟り神の類ではないので普通に参詣される分には何の支障もありませんが、さすがに肝試しに訪れるのは考えものです。交通事故で死ぬとまでは言いませんが、決して良いことは起きないでしょう。とくに蛇は財運を司りますから、経済面が不調になる恐れは否めません。また洞穴内外に積まれた石をいじるのも厳禁!ひとつひとつの石に積み上げた人間の念がこもっていますから、その因縁をもらってしまう可能性があります。