第21回霞ヶ浦分院
(茨城県)
廃墟の窓越しに、じっとこちらを見つめてくる無数の人影。 架空の霊に対する念が凝集されて、本物を生み出してしまっている場所。
今回、こちらで取り上げるのは、関東地方の廃墟マニアの間でつとに有名な霞ヶ浦分院です。ここには、戦争中に亡くなった兵士の霊や首無し男の霊が出現するとのこと。真相を探るべく現地を訪れ調べてみました。
- 所在地
- 茨城県稲敷郡美浦村大山2833
- 危険度ランク
- B ★★☆☆☆
ここは県道122号、大山江戸崎線の終着にある廃墟です。茨城県内有数の心霊スポットとして知られており、廃墟マニアや心霊マニアの間ではとても有名な場所。建物の外観は洋風建築の大きな宿舎という雰囲気で、現在は敷地の四方にフェンスが張られて立ち入り禁止となっています。ただしフェンスの一部に破れがあり、そこから建物内に侵入する者が後を絶たないようです。この建造物を含む一帯は元々、鹿島海軍航空隊の司令部があった場所で、第2次大戦中には1,000人以上の海軍兵を擁する一大基地として使用されていました。そして終戦後の昭和21年からは、その一部が東京医科歯科大学病院の結核療養施設として再利用されたのです。しかしその入院施設も平成9年に閉鎖、以後は現在に至るまで荒廃した姿をさらしています。
この廃墟は以前、某心霊ビデオシリーズで紹介されたことで、一躍有名となったという経緯があります。それまでは、単にローカルな度胸試しのスポットに過ぎませんでした。たしかに地元では、戦時に亡くなった兵士の霊や女性看護師の霊が出没するという噂がまことしやかに囁かれていましたが、実際に目撃したという人はおらず、言ってみれば“メディアによって作られた心霊スポット”だったのです。では現在、ここには本物の霊はいないのか?そう問われれば、「いる」としか答えようがありません。前に人間の想念が作り出す人工霊についての話を書きましたが、この霞ヶ浦分院に住み着いているのもそうした類の霊体です。そのうち私が確認できたのは20体ほどで、いずれも建物の内側から割れたガラス窓越しにこちらを窺うような感じで佇んでいました。ほとんどは人の形をした黒い霧という形状だったのですが、そのうちの数体はより具体的な形態を成し始めており、中には首の無い不気味な男の姿もありました。この霊は、前述した心霊ビデオシリーズでカメラに映ったとされている存在です。
一般に戦争関連の施設や病院の跡地というのはマイナスの残留思念が滞留しやすく、一定の条件下ではそうした波動が長期に渡って残存する場合があります。この地は霞ヶ浦から近く、そこから来る大量の水気が過去に堆積された残留思念を、今なお賦活させているようでした。そこへ多くの野次馬が押しかけるようになり、彼らの強い思い込み(恐怖や不安・好奇心など)が素材としての霊エネルギーに具体的な形状を与えてしまったわけです。
この地をさまよう人工霊にはまだ自意識のようなものは芽生えていませんが、早晩そうなるであろうことは確実と思われました。そうなってくると本当に霊を目撃する人も増えるでしょうし、何よりもそうした人工霊は悪霊化することが多いので、それなりの注意と警戒が必要になってきます。幸いこの建物は近々、国立科学博物館として利用される予定があるとのこと。危険な心霊スポットと化す前に、その工事計画が実現することを願います。