第9回鈴ヶ森刑場跡
(東京都)
交通事故の多発は霊の祟りか?実際に訪れてみると、現地は静寂の気に包まれていた……
第9回は、東京都品川区にある鈴ヶ森刑場跡。江戸時代に開設されたこの刑場では、10万人から20万人に及ぶ罪人が処刑されたと伝えられている。そしてその処刑者たちの霊が、今も出没すると噂されているのだが……。
- 所在地
- 東京都品川区南大井
- 危険度ランク
- C ★☆☆☆☆
以前、ある人から心霊写真の鑑定を頼まれたことがあるのですが、その時の写真が鈴ヶ森刑場跡で撮影されたものでした。入り口の看板前で男女3人が並んで写っていたのですが、真ん中に立つ女性の背後に生首らしき影が浮かんでいました。霊視してみたところ、江戸時代後期にここで打ち首になった人物の霊であることが分かり、その写真は私が預かって供養させていただきました。そんなこともあって少し気に懸かっていた場所だったのですが、つい先日、現地を訪問する機会に恵まれました。
第一京浜沿いのマンションやビルの建ち並ぶ一画に忽然と現れる小さな緑地、それが鈴ヶ森刑場跡です。この刑場は1651年(江戸時代・慶安年間)に開設され、1871年(明治4年)に閉鎖されるまでの約220年間に、10~20万人に及ぶ罪人を処刑したと伝えられています。この場所および近辺で起きると噂される心霊現象の主なものは、
- 深夜、刑場前の舗道を通ると、処刑された罪人たちの霊が出る。
- 鈴ヶ森インター入口の交差点で頻繁に交通事故が発生。通過の際に霊を目撃したドライバーもいる。
- ここにある「首洗いの井戸」で写真を撮ると霊の姿が写り込む。
- 井戸に被せられた金網を外すと祟られる。
……などです。
私が訪れたのは昼間の午後でしたが、辺りは墓地特有の静寂の気に包まれていました。霊感のアンテナを張り巡らせてみても、さほど強い霊気は感じられず個々の霊体の存在もほとんど感知することはできませんでした。史跡の敷地内には処刑者たちの霊を弔うために建立された大経寺という寺院があるのですが、ここできちんとした供養が行われていることは着いてすぐに分かりました。
それから史跡内をひと巡り。立ち並ぶ慰霊塔をはじめ、磔台跡、火刑台跡、首洗いの井戸などをひとつひとつ検分してみましたが、ここに眠る多数の霊たちは皆、鎮まっているということを確認するだけでした。
では、なぜここで心霊写真が撮れたのか?恐らく、たまたま撮影者と仏様との波長が合ったのだと推測されます。件の心霊写真にも恨みの念などは感じられなかったので、お参りに来てくれたお礼として写り込んだのかもしれません。この場所を訪れても、霊に遭遇することはまずないと思います。もちろん、祟りや霊障なども起きません。噂される霊の目撃談は何かの見間違いか、単なるデマでしょう。交通事故の頻発も、処刑場跡とは何の関わりもありません。
結論を言えば、この場所は安全です。ただ強いて注意点を挙げるとすれば、肝試しなどふざけた目的で訪れるのはNGだということです。すでに成仏しているとはいえ、仮にも無念の死を遂げた霊が大勢眠っている場所です。見学する際には必ず敬虔な気持ちを持って、過去の死者たちを慰霊することを心掛けてください。