第2回八王子城趾
(東京都)
暗闇に浮かび上がる戦国武者の亡霊、
そして悲しくむせび泣く声…
怨念に満ちた死霊の群れが、
訪れる者を威嚇して恐ろしい祟りをなすという
第2回は、東京都の郊外にある八王子城趾。ここは超定番の心霊スポット。戦国時代末期、豊臣の軍勢によって落城させられた八王子城の跡地には、今もなお殺された人々の怨念が残り、様々な怪奇現象が起きると言い伝えられている。さて、その真相は……。
- 所在地
- 東京都八王子市元八王子町3丁目
- 危険度ランク
- C ★☆☆☆☆
心霊スポットの中でも、戦国時代の鎧武者や落ち武者の霊が出没する場所というのは割と良く耳にします。今回、私が調査した八王子城趾もそのひとつ。ここは元々、戦国時代末期に関東の覇者・後北条氏によって建てられた広大な山城があった場所ですが、今ではその跡地が史跡公園になっています。一見すれば自然の興趣に溢れたとても美しい場所なのですが、昼夜を問わず霊的な体験をする人が後を絶たず、いつの間にか都内屈指の心霊スポットとして認知されるようになりました。
悲しくすすり泣く女の声が、どこからともなく響いてきた……、園内の山道を散策していたら、鎧武者姿の亡霊に出くわした……、芝生の上で急に何かにつまずき、下を見たら恨めしげな顔をした生首がいくつも転がっていた……等々、巷に広まっている体験談も様々です。
公園は夜間も開放されているので、私は日没を待って足を踏み入れたのですが、敷地内に入るとすぐに強い霊気を感じました。さらに意識を集中すると、一帯に浮遊している霊の姿がぼんやりと浮かび上がり……。それは噂に違わず、この城の合戦で命を落とした人々の霊でした。鎧武者姿の男の霊もいれば、着物を着た奥女中姿の女の霊もおり、その数はざっと数十体以上!ただ、彼等には敵意や悪意のようなマイナスの感情は、まったく感じられませんでした。
史実によると八王子城は、豊臣秀吉の小田原征伐の際に攻撃を受け、籠城した人々はことごとく殺され、辛うじて城から逃れた女性たちも敵の手に落ちて辱めに遭うことを恥じ、城の山側にある御主殿の滝と呼ばれる滝の流れへ次々と身を投げたそうです。その恨みが今に残って奇怪な現象を引き起こしているという話だったのですが、実際に目の前に現れた霊たちは祟り霊、悪霊と呼ぶにはあまりにも穏やか、と言いますか人間味がまったくなくてコミュニケーションも取れない、例えるなら動く人形を見ているだけの感じなのです。私は思わず首を傾げました。
「ここにいるのは厳密な意味での“霊体”ではない」、すぐにそう悟りました。少しわかりにくいかもしれませんが、霊の実体はすでに皆、成仏しているのです。ただこの場の地勢的な作用によるものなのか、当時の残留思念が歳月を経ても崩壊せずに残り続けており、たまたまそれを感じ取る能力を持つ人、つまり霊感の鋭い人に霊として見えるのだということがわかったのです。ちなみに残留思念とは、人間や動物が特定の場に残す感情や記憶の波動エネルギーのことです。
ですから、もしあなたがここを訪れて霊らしきモノに遭遇したとしても、それほど心配することはないでしょう。多分、深呼吸のひとつでもしている間に、フッと消えてしまうはず。もちろん、祟りや霊障も心配ありません。正真正銘の心霊スポットではあるものの、比較的安全に霊を見ることができる(?)非常に珍しい場所です。